短編集(BASARA)

□雪月花
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「大丈夫か?Honey.」
「…怖かったです…」

城につく頃には、名無しさんはぐったりとしていた。

「今日は宴だぜ?Honey。
湯浴みして着替えて来い。」
「わかりました。」

馬から下りて、名無しさんは湯浴みに向かうため、一度部屋に戻って着物を取り出した。

「名無しさん様、なにかお手伝いいたしましょうか?」

女中の声に、名無しさんは少し考え、

「香を…たいてくれる?」

着物をさしだしていった。

「香ですか?なぜ?」
「…血のにおいがする気がするのよ…。
洗い流しても落ちてないような気がするから…。」

名無しさんは苦笑いしつつそういった。
たしかに、戦に行った服は、血にまみれ、
洗った手や顔も綺麗にはみえるが、なんとなく血がついている気がする。

「かしこまりました。すぐにでも。」
「ありがとう。」

女中の返事に名無しさんはほほえみ、湯浴みにむかった。



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