無気力紀行
□1・金曜日
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「今日、かぁ・・・」
アイスのピンク色のスプーンをくわえつつカバンからスケジュール帳を取り出す。
片手でペンをくるくる回しつつ今日のページを開く…真っ白だった。
「せっかく日本に来たんだからさーあの人のトコ行こうよ〜」
ホテル取るより安上がりだよ?
翡翠のような目を向けてくる羊に紫輝は少し考える。
ホテルに泊まるくらいの資金の余裕はあるが…今日は金曜日、人が多い。
「んー仕方ないなー」
紫輝の頭の中の天秤が予約の面倒さに負けた。
財布に優しいし知らない人じゃないし。
メーヌに話しかけても変って言わないし。
「わーい。じゃあ目的地は探偵事務所〜♫」
元気に手をあげた羊に苦笑しつつ紫輝は足を進めるのだった。