□転びましたか?
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膝頭にできた精巧な蓋。
それが物語るコトは一つ。

⊂転びましたか?⊃

野分のしょぼくれわんこ攻撃に
根負けしてしまった弘樹は、
金曜も夜中に近い時間に
一緒にお風呂に入ることになった。

腹をくくって、男らしく服を脱いだはいいが、
自分でもすっかり忘れてしまったソレに気付かれてしまった。
「ヒロさん、ソレ…」
そっとソレに触れられる。
もう、隠すことは出来なくて。
「…別に何でもねーよ。」
「でも、カサブタになってるじゃないですか。
痛そうです。」
心配そうな顔で。
そう心配した顔で云われると、
嬉しくなってしまう表情を見せまいと
限界まで視線を逸らしてしまう。

「どうされたのですか?」
「さーな。」
優しい口調にうっかり本当のコトを云いそうになったが、
精一杯の強がりではぐらかす。

(川辺で秋茜を追っかけてコケましたーなんて…
云えるワケがねーだろ…)



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