□きらきらきらー
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ちょっとした用事で草間園に行く事になって、
着いたのは20分程前の話。

で、現在。

野分の生家とあって眉間に皺を寄せてではいかんと思い、精一杯の愛想笑いを浮
かべたのが運のつきだった。

⊂きらきらきらー⊃

「もー、ムリ…」
作り付けの大きすぎる机に突っ伏して
大きく溜め息をはいた。
子守りがこんなに大変だなんて思ってなかった。
四六時中突撃してくる子や、何故かモーションかけてくる子なんかがいて本気で
注意しても全く聞かない。
こうやってへばってる間も子供達の攻撃は止まない。
「かまえーあそべー」
背中によじ登られ圧迫され、下からは蹴られる。
助けを求めようと野分にちらりと目で訴えるが、
子供がなる木でどうしようもない様子。
済みませんと目で謝ってくる。
なんか無性に苛々する。こうなることは最初からわかっていたことだけれど、こ
うも子供達のアイドルをやっている野分を見るのは嫌だ。
子供達が自分をつつくのは、100歩譲って許せるが、なんか野分がたかられるてい
る姿は許せない。
ぐらぐらと心が煮える。
「だー!もう、俺ののわっ…ん?」
大爆発の弘樹が野分を取り戻すべくして強引に立ち上がったところ遠慮がちに袖
を引かれた。
「ねぇ、ピアノひける?」
「あ゛?」
強行突破をしようとしたところでいきなりな事を云われ、思わず悪人のような声
が出た。
びくっとして涙目になる3、4歳位の娘。
じわじわと目尻に涙か溜まっていき、1つ零れたら積をきったように流れだした。
「あー、泣かしたー」
面白がってはやしたてるように、弘樹の背中からずり落ちた男の子が云う。
「あ、えーと…」
「泣かせたー」
「あーもう、煩せぇ!弾ける。弾いてやるからっ!」
半ば自棄で叫んで泣く子の小さな頭に手を置く。
すると、ピタリと泣き止み弘樹の顔を見上げて嬉しそうに笑った。
「ホント?」
「お、応。」
勢いにまかせてやってしまったと後悔した。


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