【掌編】
□【掌編】十九話
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「余計なことをしないように、ここで監視するけど――いいわよね? ついでに審判をしてあげるわ。ふふ、ドッヂボールならあたしも経験があるしね。プロの視点で勝敗を判別してあげる♪」
「何でそう自信満々なんだ。顔面にボールぶつけられて鼻血だしてたくせに」
軍辞がぼそっと言ったが、美血留はもはや無駄にやる気満々である。その横に、とまとが「ボール持ってきましたわよ〜」となぜかバスケットボールをドリブルしながら駆け寄ってくる。
「ボール、これしかないんですけど――構いませんわよね?」
挑発的に、立派な胸を張っている。何でどいつもこいつも好戦的なの……。
しかし見ていたら、二対二でドッヂボール対決みたいな流れになってるんだが――もしかして僕も参加するのか、やだなあ……。
とはいえ、〈秘密結社〉の調査は僕があくあに命じられたことだ。それが誠にバレたらお節介だから「手伝うよ!」とか言いだしかねないしうし、矢賀茄后美率いるあくあの取り巻きの明るいほうの集団との牽制とかが始まったりして、どんどんややこしくなる。そんな未来が容易に想像できる。