【掌編】
□【掌編】十八話
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「うっ――ぎゃぁぁああああああああああああああああ!?」
ものすごい悲鳴が聞こえてきた。
僕らはぎょっとして、青ざめ思わず互いに手をとりあい、怯える。
な、何だ今の声……?
どこから……?
すぐに僕は気づく――真上だ、悲鳴がだんだんおおきくなって近づいてくる。僕は素早く顔をあげて、まさに仰天した。
誰かが落下してくる。
立ち尽くすんだ僕たちを目がけて、隕石のように。
「どけ、どけぇええ! 危ねぇええ、ひいいいい!?」
絶叫しながら手足を振りまわし、血の気を失っているのは――落ちてくるのは、話題の秦軍辞である。相変わらずの目つきの悪さと、いちど坊主頭にしてから何とかここまで伸びたというような、不揃いのツンツンした髪の毛。
麻呂中の制服を風にはためかせ、なぜか軍辞は墜落してくる。
その顔面が確実に僕に激突するコースだが、咄嗟の事態に僕はどうにもできず、「ふゃあ!?」と変な声をあげて頭を抱え蹲るしかなかった。