【掌編】
□【掌編】十八話
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マイペースな誠は、単刀直入に己の用件を告げた。
軍辞と野球部の連中の間で話しあいの席を設けたい、ということについて。
「あんたに野球部に戻れ、とは言わないよ――あたしは、いいや誰もね。あんたひとりが抜けたところでガタガタになるほどうちの野球部の層は薄くない、と思う。たぶん。よく知らないけどぉ」
「おい誠、おまえマネージャーだろ。選手層ぐらい知っとけよ」
思わずつっこむと、誠はうるさそうに眉をひそめて。
「だってもう引退してるしぃ、あんま興味ないし――とにかくなぁ、軍辞くん。野球部があんたを無理やり追いだした、みたいに噂されたくないわけだぁ。だから話しあいをしましたという既成事実をつくって、嫌なイメージを払拭したいわけ。このままじゃあ、空気悪くてさ、みんな練習のモチベーションさがっちゃうわけだぁ」
「ちょっと、あなた」
押し黙っている軍辞を守るように、刀の柄に手を添えてとまとが足を踏みだした。
いや、何で刀抜こうとしてるんだ。穏便に、穏便に。ハラハラしながら見ている僕に、とまとは「にっこり☆」と不安しかおぼえない笑みを浮かべて。
誠に視線を戻すと、きつく睨みつける。