【本編】
□【本編】十話
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昼休み開始のチャイムが鳴り響く。
ひとときの小休止にみんなが浮き足立つなか、ひとり孤高に席を立って教室をでようとしていた月吉とまとを――。
「つっき〜♪」
矢賀茄后美は、遠慮なく後ろから抱きしめる。
びっくりしたのか、三つ編みをぽこんと跳ねさせて、とまとが身をよじる。
「ンぎゃあ!? いったい急に何ですのーっ!? って馬鹿女! 近づくなっつてるでしょ――はんにゃあああ!?」
「おぉ、すごい。つっきー、あたしも自信あるんだけどなぁ。さすがに勝てないよこれ。もみもみもみ……フフっ、お互いよいライバルでいようねっ♪」
「やめてよもーっ!?」
背後からとまとのたっぷりした胸元をまさぐっていた茄后美が、振り払われる。いやぁ、ありえん巨大さ、柔らかさである。むう、と自分の実力をむにむにと確かめて、うんまだ成長期――と拳を握ってから、あらためて真っ赤になってるとまとを見た。
「ね、つっき〜。つっきーはいつもお昼休みいないけど、どこで食べてるの?」
「か、関係ないでしょう、あなたに」
胸を揉んだから警戒しているのか、じりじりと後ずさるとまとである。かわゆい。
「わたしはいつも購買部で買って――そのへんで適当に、ですの」
そういえば、木の上でパンをかじってたりしたなぁ。