【本編】

□【本編】六話
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 今日は日曜日。

「さぁーって☆」

 元気よく三つ編みを揺らして、とまとが満面の笑みで言い放った。


「毎回土日恒例のブタ野郎……もとい軍辞の〈秘密結社〉通過儀礼を始めますわよ!」

「待て待て」

 今日はやや曇りがちなので、えらく寒い。冬なのだ。軍辞は制服のうえから厚手のコートを羽織り、それでも冷えていたので手袋を嵌めた両手で口元を覆っている。

「日曜の朝からひとを呼びつけといて、いきなり何なんだおまえは……」

 これまで〈秘密結社〉の人間と、土日に遭遇することは稀だった(それは別居中である実の姉の哩音も含む)。あくまで校内限定の組織なのである。よって休日は骨が休まるという安堵感と、一抹の寂しさを感じる『暇な時間』になるのが常だったのだけど……。

 今朝、起きたらメールボックスに見覚えのないアドレスと着信がずらずらと並んでおり、内容を見てもえらく礼儀正しい文体で『ご迷惑かもしれませんが、どうかよろしくお願いいたします』などと書いてあって、かなり正体不明だったのだが――。

 怖かったものの好奇心に負けてのこのこ呼びだされるままきてみたら、これだ。そういえば、以前にとまとには『〈秘密結社〉の特殊任務に関して連絡するかもしれませんから、めめ、メールアドレスとかっ、教えるがいいですわーっ』とテンパった感じに聞かれていたのだった。忘れていた。
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