【掌編】

□【掌編】十五話
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 うおおおおお!?
 びっくりした、びっくりした――と鼓動が暴れる胸元に手を添えて、軍辞はどきどきとしながら声の方向を向いた。

 背後である。
 軍辞が入ってきたプールサイド側の出入り口、びっくりするほど近い位置に、不思議そうな表情の月吉とまとが立っていた。

 今日も誇らしげに真紅の髪の毛を三つ編みにしていて、表情も態度もきゃんきゃん喧しい小型犬のよう。腕のなかに抱えこめそうなほどちいさいけれど、胸元だけは何かの冗談みたいに膨らんでいる。
 肩に、鞘に収めた日本刀を担いでいる。

 煙草をこっそり喫おうとしていた、という疚しいところがあったから――一瞬、問答無用で「成敗ですの!」とか言いながら斬りかかってこられる気がして、軍辞は「ひっ」と頭部をかばって後退した(致命傷を避けるため)。

 こいつ、妙に真面目なところがあるし――未成年者の喫煙は法律で禁止されてますの! とか大騒ぎしそうだしなぁ……。何より、その刀。漫画とかではよく武器をもった生徒会長キャラとかが登場するが、リアルにいると怖すぎる。

「お、おまっ、何でここっ……!?」

 思わずどもってしまったが、赤面性のきらいがあるとまとはわずかに頬を染めて。

「だって軍辞の気配がしたから――」

 などと小声でつぶやくと、こちらの手元を覗きこんで。
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