【掌編】

□【掌編】十六話
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 などと思いつつも、しばし雑談をしつつもお茶を楽しむ。
 今日はただ姉ととまとを会わせることのみが目的なので、とくに何かすることがあるでもない。僕自身の意志でもない、あくあに命じられたままやっただけだ。ゆえに僕は手持ちぶさたで、お腹がたぷたぷになるぐらいお茶を飲んでしまったけど。

 どうも会話を聞きかじるかぎり、姉さんは生徒会でも浮きぎみだった月吉に唯一、物怖じせずに話しかけたりしていたらしい。まぁ、姉さんは誰にでも分け隔てないというか、あんまり細かい人間関係に興味ないひとだから。
 でも、とまとにはそれが嬉しかったらしくて――子犬のように懐いて、今に至るみたいだった。中学生の、可愛らしい恋愛である。憧れ、の段階だろう。僕のあくあへの真実の愛の前には霞むなフフフ、と優越感にひたっていると。

「さてと」

 人心地ついて、姉が意味のない雑談を切りあげると、居住まいを正した。
 いつだっててきとうな姉だけど、やるべきことはきちんとやる――今日は何か、腹に一物抱えてきたみたいだった。

 僕も月吉も社交性が豊かではないし、ほとんど姉が喋っていたから、場の主導権は姉が握っているようだった。思わずこちらも背筋を伸ばし、彼女を見あげる。

「月吉さんには生徒会の仕事とかでよく会うけど、あらためてこうして話したことはありませんでしたよね――そういう意味では、とても有意義だったと思います。月吉さんは真面目な良い子ですが、礼儀正しすぎて、なかなか腹を割って話す機会もありませんでしたし」

「は、はひっ。そんなこと、ありませんのっ」
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