【掌編】
□【掌編】十六話
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「ひとんちにきてまで、勉学に尽くしたくない」
そこまで興味はない。
月吉に手取り足取りご教授たまわる、という構図は何となく屈辱的な気がしたし。
「月吉は、ふだんは寝る前とかどうしてるんだ?」
「わたし? 刀を磨いたり手入れをしたり、訓練をしたりしてますけど?」
おまえは誰と戦ってるんだ。
「あとはゲームとかですかね、最近は――やどちんや軍辞が、よく〈アジト〉でやってますから。混ぜてほしくてその、練習っていうか……」
もじもじして、壁際にある大型テレビを指さした。そこにはひと揃い、最新型のゲーム機が並んでいる。なぜかコントローラが半ばから折れてたりボタンが潰れてたりするけど。
「ゲームは壊して遊ぶおもちゃじゃないぞ」
「力加減が難しくって――」
むしろ疑問なんだが、どうすればゲームのコントローラとか壊せるんだ。どんな握力してんだこいつ、怪物か。怖い……。
「じゃあ、あれをやりましょう――おままごと♪」
ナイスアイディア、みたいに言われたけど。
「おまえ中学生にもなって……」
何が哀しゅうてそんな幼児向けの遊びを、と僕は思ったけど。
月吉は、しょぼんとして。