【掌編】
□【掌編】十七話
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「あなたに興味があって」
「あたしに?」
デイジーはさらに深く首を傾げると、じいっとこちらを注視して。
ことさら理解不能、みたいな態度をとると。
「あんたには、必要なさそうだけど――」
などと、よくわからんことを言っていた。
謎めかしは嫌いよ、どういう意味か問いかけようと思ったけれど――デイジーは「もぐりっ」とまた焼き芋を囓る。そののほほんとした態度に、何だか毒気を抜かれてしまった。
あまりにも気持ちよさそうに食べるので、食事というものにあまり快楽を感じないあたしはふつうに気になって。
「そんなにお腹すいてたの? 授業脱けだして販売カー追いかけなくても、もうじきお昼休みだからちょっと我慢すればよかったのに?」
「う〜ん」
デイジーは独り言みたいに。
「べつにご飯は食べなくてもいいんだけど、どうせあたしなんか卒業までは生きてられないしさ――早いか遅いかだから、飢え死にしてもいいんだけど」
「どういうこと?」
「あんたには関係ないよ」
素っ気なくつぶやくと、そのまま歩いて行ってしまう。とりつく島もないとはこのことだ、そんなにあたしよりも焼き芋屋さんが気になるのか。