【掌編】

□【掌編】十七話
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 そんな馬鹿をしてるうちに、デイジーは海岸線から離れてどこか遠く――山の奥へと分け入ってしまい、あとで聞いたら暇だから散歩してただけみたいだけど。
 何だかその寂しげな姿が強く印象に残って、あたしは翌日の教室で、彼女に「あんた死ぬつもりだったの?」とか公衆の面前で今から思うととんでもない問いをしたのだ。

 それが、きっかけ。
 彼女はそのとき何て応えたんだったか、もう覚えてないけれど――おもむろに「あんた吸血鬼みたいだな」といきなり言われたのは初めてだったから、よぉく覚えてるわ。

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