【掌編】
□【掌編】十七話
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ゲーム屋さんの横に、ちょうど『ペットショップ/東方不敗』なんて厳めしい看板がかかってたので、そこを覗いてみる。
「けっこうお高価いものだけど、ハムスターぐらいならどうにかなるんじゃない? ちなみに、予算はどれぐらい?」
「金はある」
この寒いのに外にだされて、羽毛を膨らませて震えている小鳥を眺めて。
デイジーは何だか哀しそうに。
「でも、うちで育てられたら――動物が可哀想かもしれない。どうせ、死ぬし。愛していればいるほど、傷ついてしまう。まりりんには、あまりそういう重みを背負わせたくないのだけど」
「いつか死ぬっていうなら人間だってそうよ、世界だって宇宙だってよ――気にしてたらきりがないわ、あなた後ろ向きすぎるのよ」
あたしは何だか不安になって、消えてしまいそうなデイジーにそっと寄り添って。ふたりいっしょに巻いているマフラーのあったかさのなか、つぶやいた。
「どうせ終わるからって何も始めないのは、諦めちゃうのは、よくないことよ」
あなたにも言ってるのよ、と押しつけがましく主張すると。
デイジーは驚いたようにこちらを見あげ、露出した片目を揺らめかせると。