【掌編】
□【掌編】十七話
3ページ/46ページ
その日から、あたしの生活は一変した。
ごく小規模に、けれど根本的に。
デイジーは、変な娘。
いつも落ちついて飄々としているかと思ったら情緒不安定で、不意にわけのわからない理由で泣いたり怒ったりする。孤高を愛するように見えてときおり酷く甘えんぼで、ひとに慣れない野生動物みたいだ。
男の子みたいなのに、ときどき艶めかしくて。
他人を突き放すみたいに、ぶっきらぼうに喋ったときこそ――いちばん聞いてほしくてたまらない、本音だったり。
彼女とすごした時間は、あとから思いかえしてみると驚くぐらいにほんのわずかで。
けれど、あたしにとって何よりも濃密で――輝いている、何にも代え難い宝物みたいな日々だった。
× × ×