【掌編】

□【掌編】十八話
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 僕はなぜか得意げに「えへん」と立派な胸を張っているとまとに、問うた。

「おい、おまえら何してたんだ? 何でバンジー?」

「何って、暇つぶしに遊んでただけですけれど――思いついたら何でもとりあえずやってみるのが、わたしたち〈秘密結社〉ですわ!」

 相変わらず頭のおかしい集団だなぁ。バンジージャンプなんて、専門の道具もなくやるもんじゃないだろ。縄の長さを間違えたら地面に叩きつけられて即死だぞ。
 どうも嫌がる軍辞を無理やり縛って突き落とした感じだが――楽しそうなのはとまとばかりで、軍辞は可哀想に真っ青になって震えている。

 変人どもに突きあわされて大変だなぁ、軍辞も。
 と同情する僕の横で、誠が胸元を強調するようにして屈みこみ――興味深そうに軍辞を眺めた。

「あんたが秦軍辞ぃ?」

 名前を呼ばれて、何とか身を起こして足に結ばれた縄をほどいていた軍辞が「あ?」と可愛くない反応をした。目つきが悪いので、まるっきり威嚇するちんぴらである。まぁ、目が悪いという話だし、睨むようにしないとよく見えないのかも。
 眼鏡でもかければいいのに。

「あんた誰だ?」

 怪訝そうな軍辞に、誠はマイペースに読んでいた文庫本を「ぱたり」と閉じると、静かに微笑んだ。黒目がちで、睫毛も長いので、目を細めると(^_^)っていう漫画みたいな笑顔になる。
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