【掌編】
□【掌編】十八話
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僕は本格的に窒息しそうだったので誠の背中を「ばんばん」叩きながら。
「無駄な努力ほど無駄なものはこの世にないんだよ、誠。誠はどうせ馬鹿だからどの高校にも入れないよ、だから諦めて首を吊って死ねばいい痛たたたた!?」
「おまえも学校の成績はびりっけつだろぉ、いいじゃん――だから、いっしょに勉強しよう? 誰かといっしょならがんばれる、そんな気がする」
「僕は関係ないだろ受験は再来年だしおまえ嫌いだし痛い痛い痛いっ!? わかった、わかったから首を絞めるな! ひとごろし!」
泣く泣くギブすると、誠は満足したのか「じゃあ行くぞぉ」とマイペースに学生鞄へ文庫本を放りいれると、肩に担いで歩きだす。僕はげほげほと咳きこみつつ、ダッシュで逃げることをすこし考慮したが、誠がそれを見越して僕の手を掴んだ。
「うう……」
呻き、僕は諦めて――おとなしく引きずられていく。
誠に触れたせいで、強いにおいが制服に残った。
だからこいつは嫌いなんだ。
押しつけがましくて。
× × ×