【掌編】
□【掌編】十九話
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「おぉ、本気ねとまっちゃん。愛の重みね!」
美血留さんがよくわからんことを言っているが、ともあれ。美血留さんの茶々に「なな! 愛とか! 何言いますのみっちゃん!」と慌てているとまとを隙ありと判断し、また卑怯な不意打ちで僕はボールを拾って投げる。
だが、それは読まれていた。
とまとは「ふふん」と鼻で笑うと、小柄な身体のぜんぶを使ってボールを受けとめる。視線が交わり、火花が飛び散る。あれ〜、これで終わったら楽だと思ったんだけど、何で粘るんだよ。どうしてそんなに本気なの。
「なかなか、戦略家ですわね――文花さん! しかし、わたしはこの勝負! 絶対に負けるわけにはいきませんの!」
テンションあがってるところ申し訳ないけど、この勝負は本来、誠VS軍辞ではなかっただろうか。僕ら、巻きこまれただけじゃん。冷静になってほしい。
当事者どもが即行アウトになった時点でだいぶ本末転倒だよなぁこれ――あぁもう、どうしてこんなことに……。
× × ×