【掌編】

□【掌編】十九話
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 宿と呼ばれたその女の子は、ぼうっとしていて、それこそお人形のように無表情だ。

 美血留は欠伸を噛み殺しながら、そんな彼女に顎をのせて満足げに。

「いつの間にあたしの寝床に潜りこんでたのよ、油断も隙もないわね。まぁいいわ、ふああ――ぬくぬく……」

 肌寒い季節なので、美血留はひとの体温が嬉しいのか、満足したようにその場に「ぺたん」と抱っこしたまま腰を降ろす。宿が嫌そうに藻掻いているがお構いなしである。

 変な連中だなあ。

 これが噂の、〈秘密結社〉――。

 予想していたよりずっと、奇人変人の巣窟らしかった。

「ねぇね」

 僕のとなりにいた誠が、気安く呼びかけてくる。

「あのひとたち、誰? 制服着てないし、うちの生徒じゃないよね?」

 イカスミスパゲッティみたいな髪型の彼女は、やる気満々に準備体操などをしている。何やら興味深そうだが――僕も、〈秘密結社〉についておおくを知っているわけじゃない。

「僕が知るか」

 短く言い捨てると、「あっそ」と一声漏らして、誠はおおきく深呼吸。
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