【掌編】

□【掌編】十九話
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 動じないやつだなぁ、と呆れて見ているうちに誠は制服を脱ぎ捨て、さっさと体操着姿になっていた。下に着こんでいたらしい。体育の授業でもあって、面倒で体操着の上から制服を着ていたんだろう、そういう性格のやつである。

「うし」

 満足いくまでストレッチをして、誠が何気なく言った。

「じゃ、やろっか」

 基本的に無表情なやつなので、笑顔もなく、みょうな凄味がある。

 ちなみに場所は〈秘密結社〉の本拠地――〈アジト〉の正面にある、やや拓けた空間である。なぜか朽ち果てる寸前のバスケットゴールなんかが置かれていて、いちど整地されアスファルトで塗り固められたのだろう、雑草も生えてこなくなっている。

 あちこち金網や樹木で埋め尽くされたこの区域では貴重な、自由に動き回れる場所だった。〈秘密結社〉の連中も外で遊ぶときは、ここを利用するらしい。まぁ、基本的にインドアな連中なのでそういうことは滅多にないだろうけど。

 夕焼けに照らされ、何だか物哀しい。
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