【掌編】

□【掌編】十九話
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 この場所にて、誠の提案したとおりに勝負が行われる。

 こちらが勝てば軍辞が野球部との会談に出席する。負けたら、僕らは二度と〈秘密結社〉に関わらない。あくあの命令で〈秘密結社〉の調査をしなくちゃいけない僕は二度と関われなくなるのは困るけど、まぁ負けてもそれは誠の負け、と言いはってしまおう。

 そんな事情を軍辞から聞いて、美血留が「ふぅん」と面倒くさそうにぼやいた。

「何だか妙なことになってるのね」

 足腰が弱いのか、地面にだらしなく座りこんだまま、宿とやらを膝抱っこして「良い子、良い子」しながら。

「まぁいいけど、あたしらに迷惑はかけないでね――これっきりにしてちょうだい。ふつうの生徒が〈秘密結社〉に関わっても、いいことなんてないのよ、これはあなたたちのために言ってるのよ」

 その視線が、僕と誠に向く。

 背筋を冷たい指先で撫でられるような、得も言われぬ寒気をおぼえた。

 絶句する僕らに、美血留は苦笑して、他人事の気安さで手をあげる。
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