【掌編】
□【掌編】十九話
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ゆえに、ここは僕も参加し――妨害するなりして誠にはあっさり負けてもらって、彼女が二度と〈秘密結社〉に関われないようにするべきだ。
誠の身体能力は未知数だけど、味方であるはずの僕がこっそり裏切り、三体一の構図にすれば勝ち目がなかろう。
それで万事解決だ、素晴らしい。
そう頭のなかで結論づけた僕の横で、誠がいらんことを言いはじめる。
「ちょっと待って、そこの女のひとは――よく知らないけど、〈秘密結社〉とかいうののひとでしょ? 秦くんたちの味方じゃん、審判なんて任せられないよ。そっちに有利な判定をするかもしれないし」
「あら、信用ないわね」
美血留は悠然と、微笑む。
見るからにこのひとは成人してるし、中学生が何を言おうと可愛いものとしていなす余裕があるみたいだった。
「ま、べつに無理して審判やる気もないし、心配ならいいわ――勝手にやっちゃいなさい、あたしらは観戦してるからさ。ね、や〜どちんっ♪」
「…………」
彼女に抱きつかれた宿は、無言であらぬ方向を見ている。まったくこちらに興味をもっていないというか、別の次元にいるみたいに無反応だ。