【掌編】

□【掌編】二十話
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『車で移動するのかね、事故には気をつけるんだぞ』

 父はいちおう心配しているのか、いつもより饒舌である。

『何かあったら報告するように』

『では今日も、未来のため正義のために労働しましょう』

 ふたつの画面が暗転する。いつも思うけど、悪の組織の大首領から指令を飛ばされる気分だ。何だか緊張する。
 未来のため正義のため、ねえ。

 僕らががんばらなくても世界は巡る気がするけれど、それが両親の選んだ生きかただ――僕は溢れそうになる本音を、カロリーメイトでそっと押しこむ。

× × ×

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