【掌編】

□【掌編】二十話
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 もちろん、信頼し愛しているあくあに操縦されるなら、好き放題にされるなら――僕はむしろ嬉しい、というか死んでもいいぐらいなんだけど。

「とりあえず中学校へ向かうからね」

 あくあに馬乗りになられて鞭で叩かれているいけない想像をしていると、姉が呆れたようにぼやいた。

「そこで他の面子を回収して、車で一気に新潟まで行くよ」

「あぁ、集合場所には中学校がいいだろうけどね――みんな知ってるところだし。でも、移動はぜんぶ車なの? 新潟って、けっこう遠くない?」

「所詮は国内さ、新幹線で一時間の距離だよ。車でも、そう長旅にはならないよ。ほんとは海外でもよかったんだけど。ななちゃん――亡々宮美血留ってのはあんまり〈アジト〉から動かしちゃいけないやつでね、遠出もできないんだ」

「いいの、そんなひとを勝手に旅行なんかにつれだして? 許可はとってるの?」

「一応はね。私も揉めごとを起こしたいわけじゃないし――私は亡々宮さんちとはやや因縁があるから、間にひとを挟んだけど。とりあえず、追っ手がかかったりするようなことはないはずだよ?」
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