【掌編】

□【掌編】二十話
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「うげぇっ、誠!? 何でおまえがここにいるんだよ! はなせっ、女臭さがうつる!」

「ひとを病原菌みたいに言うなよ〜う、仲良くしようよ〜う♪」

 なぜか僕を着ている服のなかに誘いこみ、素肌に密着させる、これまた謎の行為をする誠である。ぎゃあ、息苦しいっ。あと女性的な脂肪のかたまりがすぐ目と鼻の先にあって気持ち悪い! あくあの骨っぽい身体を抱っこしたい! 助けて!

「えぇいっ、汚い乳を押しつけるな! ぺっぺっ!」

 どうにか逃れて唾を吐くと、あくあが天使の笑みを浮かべる。

「相変わらずおまえらは仲良しだね、おれはすこし嫉妬しちゃうよ?」

「うわぁんっ、これは浮気じゃないんだよあくあ! 僕が愛してるのはあくあだけっ、そこの女はただの強姦魔! 訴えて死刑にしてやる!」

「サービスしてやったのにこの言われよう、傷ついちゃうなあ〜」

 言葉とは裏腹に毛ほども動じていない誠が、あくあの座った車椅子のペダルを握りしめる。その役目は僕のものだ、と手を伸ばしたが、誠のやや女の子にしては筋肉質な腕で突っ張られ、顔面を押しのけられて遠ざけられる。えぇい、このお邪魔虫め〜!
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