【掌編】
□【掌編】二十話
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じたばた藻掻く僕を、残酷な子供そのものに、「くすくす」笑ってあくあが見ている。
「おれはほとんど歩けないからね、誠に頼んで車椅子を押してもらうことにしたんだよ。『友達を誘ってもいいよ』って、君のお姉さんにも言われたしさ」
おのれ、姉め。余計なことを言いやがって。
「あっきゅんに『友達』と思われてるなんて光栄だなあ」
照れくさそうにしている誠も不愉快である、えぇいまだ旅行が始まってもいないのにストレスMAXなんだけど。
とりあえず、あくあに抱きついて癒されよう、と玉座に腰かける王者のごとく車椅子に座ったあくあのおみあしに、そっと跪いて頬を寄せる。ふう……。
たっぷりと撫でたり踏まれたりして幸せゲージを満タンにしてから、僕はそっとあくあを見あげる。
「こんな身体なんだし、旅行なんて無茶じゃないの? 今からでも僕が姉をしばき倒してこんな旅行は中止させてもいいんだよ?」
「そう要介護者みたいに扱わないでほしいよ、たまには運動しないと衰える一方だしね」