【掌編】

□【掌編】二十話
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 今すぐバラバラになってもおかしくない、えらくレトロな大型車両である。

 トラックなのかバスなのかすら、よくわからない。四角い箱にタイヤがついてるからかろうじて車だと判別できるけど、どちらかというと電車に似ている。おおきさは、姉が運転していたワゴンより二回りほどおおきい。車道ぎりぎりのサイズだ、ずんぐりむっくりしている。

 どっかの国で観光バスとして使っていたものを払い下げたような、あちこちに錆が浮かんだ代物で、動くたびにガタガタと騒音を響かせている。こんなん、日本の公道を走らせていいのか。どっか駐めてたら問答無用でレッカー車に回収されそうなんだけど。

「おっ、役者が揃ったねえ」

 姉が妙なことを言いながら、ポケットから煙草の箱を取りだして、シガレットを口にくわえる。吸い口に金箔の貼られた、茶色い巻き紙の、異国情緒溢れる煙草だ。コンビニとかで見ない種類だけど、やばい薬物じゃないだろうな。

 煙をくゆらせ、気持ちよさそうにしながらも、姉はおおきく手を挙げて。
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