【掌編】

□【掌編】二十話
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 今度は母親が宗教的熱心さでよくわからんことを言ってくる。これ真面目に言ってるからなぁ、殉教者だなぁ。

 姉が変なものを口にいれた顔をするのも今日ばかりは「ざまぁ!」と思えず、同情していると、父が僕のほうに呼びかけてくる。

『旅行とはいえ、充分に気をつけるように。何かあったら連絡しなさい、すぐさま駆けつけるとはいかんが、あらゆる権力を行使しておまえたちを守ってやる』

「ウス」

 喜んでいいのか不明な発言に、僕はてきとうに応える。

 その間にも、両親は互いもPC上で会話している。

『おまえ、締めつけるだけではいかんぞ。ある程度の自由、に見えるものを与えつつ――ある程度は己自身で行動させなくては、成長は期待できん』

『適宜、正当なストレスを与えつづけることが人体を活性化させ、子供たちの未来をつくると思うのよ、あなた』

 そんな両親に職場の同僚たるオッサンたちも仕事の合間にああだこうだと、子育て論を展開していく。自分の仕事しろおまえら。
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