【掌編】
□【掌編】八話
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「ね、ね、ななちゃん! 私とペア組もうぜ〜!」
プリン何とかさん(いいかげん本名を覚えてあげたいと思うけど、忘れた)があたしの机をばんばん叩く。ふわりと、すぐに消えちゃうオーデコロンの香り。
あたしは苦笑いして。
「さすが委員長、クラスのあぶれものに積極的に声をかけてくれるのね。あなたなら人気者だから、他の誰とでも班を組めるんじゃない?」
ポーカーにおけるジョーカーのような女の子なのだ。
「そだけどさ」
さらっと肯定して、プリン何とかさんはにこにこ。
「だからこそ、他のものとは組みあわせられないななちゃんに声かけてるわけだし。私といっしょにロイヤルストレートフラッシュをつくろうぜ〜!」
「ま、いいわよ」
こんなことで煩わされたくないし、どうでもいい。
「班にいれてくれるなら、いいわ。何よりよ、ただ、デイジーも一緒でいい?」
彼女もあたしと同様に、あぶれものキャラだ。
プリン何とかさんは無駄に元気に。
「うんうん! むしろ頼もうと思ってたし! あたしが声かけても無視されるから、ななちゃん誘ってくれる?」
「ええ」
せっかくの好意を無駄にしたくもないので、あたしは素直に頷いた。クラスメイトと要らない諍いは起こしたくない、家にいるよりずっといいし。
あたしはいちおう、話しかけられたらできるかぎり気さくに応えるけど、デイジーはガン無視だからなあ……。そのへんが、彼女とあたしのちがい。虐げられるか、遠巻きにされるかのちがい。