2

□風を感じて 44
1ページ/6ページ

神社の境内の奥、獄寺とγの戦いが始まろうとしていた、山本は少し離れた木に寄りかかり、その様子を見ていた
「なら、遠慮なく行かせてもらおうかな」
「もうとっくに戦いは始まってるけどな」
「……ああわかってる、だがこの手はくどいな」
近くの木に仕掛けられたダイナマイトが爆発を起こし、γの視界を塞ぐがγは上空に逃れる
「なんとかの一つ覚えか?」
「どーかな」
獄寺はそう言うと、γのいる上空に向けてダイナマイトを放つと同時に左腕にある武器から炎を放つ

     ドガガガッ!!!

その様子を見たγは、死ぬ気の炎の威力が上がっていくのを見極めていた
「威力倍増か」
γはそう言うと、自分に向ってきた獄寺が放った死ぬ気の炎を、リングの炎で防御する
「電磁バリアだと……!?リングそのものの力なのか!?」
「それほど驚く事もないだろう、こいつはおまえらが破棄したボンゴレリングと同等の力を持つ、マーレリングだ」
「(マーレリング!?)」
γはリングに死ぬ気の炎を灯し、匣を開匣する
「じゃあそろそろ、しめていくぜ」
匣から出てきたのは、雷の炎を纏ったビリヤードの球だった
「んだありゃ!?……球!?」
γはキューを持ち、白い球を突くとその勢いに乗って、次々と浮いていた球に当たり、獄寺の周り地面にビリヤードの球が落ちると、獄寺に向けて雷の炎が放出される

      ズンッ!!!
       「がはっ」

獄寺はその電撃によって感電し、血を吐く
「どうだ?ショットプラズマの味は…天国の扉は見えたか?」
獄寺は地面に倒れる、山本は苦い顔をしてただその様子を黙ってみていた






その頃朋美は、敵の目を掻い潜りながら、神社を目指していた
『ハア…早くしないと…武君と隼人君が…γって人に…』
朋美は神社の方角を見る
『どうか…無事で…』
朋美はそう呟くと、再び神社に向って走り出した






その頃綱吉達は、敵の様子を見ながら京子達を探していた
「このルートも使えそうもないな」
「どーしよー!これじゃ京子ちゃん達が探せない、獄寺君たちもやばいってのに!」
すると綱吉の頭に何かが当たる、振り返ると窓から綱吉達を見る女性がいた
「だ…誰だ?」
綱吉はふとその家の表札を見ると“黒川”と書いてあることに気付く
「もしかして、黒川花!?」
花は指を指し京子がいることを教える
「京子ちゃんもいる!」
「笹川の妹と伊藤が、敵に見つからない理由がわかったな」
「う…うん」
綱吉はホッとして花の家に入っていった






その頃神社でγと戦っている獄寺は、γの攻撃によって倒れたが、体を起こし立ち上がる
「球に帯電させた電気を、地中でスパークさせたのか?」
「正確には電気性質と極めて酷似した死ぬ気の炎だ、純度を増すほどに切れ味が鋭くなるのが、雷属性の炎の特徴でね、そこんとこしっかり味わって、召されな」
再びγはキューを握り球を突く、突かれた球に弾かれ勢いの突いた球は、再び獄寺の近くの地面に落ちる、そう同じ技を喰らってはと獄寺は上空に飛び上がるが、γはもう一つの球を獄寺に向けて突こうとした
「(しまっ)」
やられると獄寺が思った瞬間、山本が獄寺の前に出てくる
「てめっ何しに」
山本は獄寺を竹刀の姿の<時雨金時>で後ろにぶっ飛ばした

      ガッ!!!

「てめ……何のマネだ」
「お前の腐った根性叩き直しに来た、どーにも腹の虫がおさまんねーからな」
「んだと!?」
「ん……?なんだこりゃ…?」
γはその様子を見て、攻撃を中止する
「おまえ日本に来てツナに会うまで、一匹狼で誰も信用してなかったんだってな」
獄寺は山本の言葉に目を見開く
「だからこそ、初めて心を開いたツナに忠実なのはわかる気がする、だけどツナしか心を開かねーのは、ツナへの押し付けにしかなってねーぜ」
「なっ何言ってやがる!!てめー!!」
「大体右腕ってのは、ボスが一番頼りにする守護者のリーダーじゃねーのか?守護者をまとめてひっぱってかなきゃなんねー奴が、そっぽ向いてんじゃ話にならねぇ!今のお前に右腕の資格はねーよ、それに…そんなお前を見たら、朋美が悲しむだけだぜ」
獄寺は山本の言葉にただ歯を悔しそうに噛み締めるだけだった
山本はγの方を向く
「選手交替だ、わりーなまたせちまって」
「いいや、なかなか甘酸っぱくて楽しかったぜ、そらぁ若い頃は有無も言わさず瞬殺決めてきたけどな、年をとると敵の話を聞くのも悪くないと思えてくる、それと一つ質問があるんだが…お前達の言っている朋美って名の女は、そーとーいい女みたいだな…」
「……その質問は答える気はねーよ」
「そうか…残念だ」
そう言ってγは山本に向けてキューを構えた
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ