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□秘めた想い
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「好きだ、夕月」

口にした所で叶わないとわかっている。
夕月にはルカがいる。
だけど伝えずにいられなかった。
そのくらい、心の中で夕月の存在が大きくなっていた。

「好きなんだ。お前のこと」

返事がないのは当たり前だと思う。
夕月は俯いていた。
沈黙を破るように焔椎真はとっさに言い訳をした。

「迷惑なのはわかってんだけど、どうしようもなくて」

「え……」

「最近、お前の顔見る度エロいこと考えちまって、もう限界っつーか」

冗談ぽく自嘲気味に笑いながらちくりと胸が痛んだ。
夕月から返事はない。
予想通りの結末。
わかってはいたけれど。

「悪かった」

夕月の頭を軽く撫でて踵を返した。

「待って!焔椎真くん」

「ん?」

「あの……その」

ぎゅっと服の裾を掴んできた夕月の顔は赤くなっていた。

「僕も、焔椎真くんのこと好きですよ」

「ほっ、本当か!?」

瞬間、焔椎真は夕月の手を掴んだ。
こくんと恥ずかしそうに頷く夕月を思い切り抱きしめる。

「やべぇ!スゲー嬉しい」

「焔椎真く……」

苦しい、と言われて慌てて抱きしめていた腕をゆるめた。

「愛してる。夕月」

「うん。僕も……」

「キスしていいか?」

「うん」
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