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□それは、秘密
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昨夜のあれは何だったんだろう。
今朝の朝食の時間。
学校での焔椎真の態度。
全く普段と変わらない。

夕月は恥ずかしくて焔椎真の顔もまともに見られないというのに。

(気にしてるのは、僕だけなのかな……)

愛してる、確かそう言われたと思う。
告白されたのだから返事をするべきなのだろうか。
授業中、ちらりと焔椎真を盗み見た。

机に突っ伏しているから寝ているんだろう。
角ばった細い指に目がいく。
あの指が自分のあんな場所に触れたのか。
どこか他人事のように夕月は思った。

「蓮城!!」

教師に注意され、顔を上げる焔椎真。
不意に彼と目が合った。

夕月はあからさまに目をそらす。

心臓がうるさくて。
どんな顔をしたらいいかわからなくて。
気持ちを見透かされそうで、夕月は焔椎真との接触を避けた。


放課後。
鞄に教科書をつめていると

「おい」

「え……」

「ちょっと来い」

手首を掴まれ、焔椎真に廊下へ引っ張り出された。

「焔椎真くん?どこ行くの?」

「いいから!」

着いた場所は男子トイレの個室。
狭い空間に二人きりになった。

「何で……こんなとこ」

「こうする為に決まってんだろ」

壁に追い詰められた。
唇が重なってきた。
息もできない程、何度も唇が押し付けられる。

「ん……んんッ」
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