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□恋愛成就
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「九十九くんて、十瑚ちゃんと一緒に寝てるんですね」
ひとつのベッドで二人が並んで眠っていたのを目撃した夕月。
「うん、たまに」
「それって、もしかして……」
「え?」
言っていいものか迷う。
聞きたいけど知るのが怖かった。
姉弟だけど、恋人でもあるの?なんて簡単には聞けない。
「夕月、気になるの?もしかして十瑚ちゃんのこと……」
「えぇっ!?ち、違います!」
夕月が最近気になっていたのは九十九の方だった。
九十九のことをもっと知りたい、なんて思った。
けれど九十九は親戚であり、仲間であり、大切な友達なのだ。
それ以上の愛情は邪魔なだけだ。
「十瑚ちゃんはダメだよ」
それは手を出すなという意味で。
つまり二人はやっぱりそういう関係なのだろう。
夕月はそう納得することにした。
「そう……ですね、すみません。変なこと聞いて」
踵を返したら九十九に腕を掴まれた。
「待って、夕月。答えて」
「え?」
「本当に十瑚ちゃんが好きなの?」
「僕は……」
じっと九十九に見つめられ、黙り込む夕月。
何を言っても包み込んでくれそうな九十九に、一瞬自分の思いを打ち明けそうになったけれど。
両思いの二人の邪魔をしたくなかった。
「何でもないです。僕、夕食の手伝いに行ってきます」