main

□それは、秘密
2ページ/3ページ

回数を重ねる度、舌が深く絡まっていく。
濃厚なキスをひとしきり味わった後唇が離れた。

「焔椎真くん……こういうこと、もうしないって言ったじゃないですか」

「お前が誘ってるような顔するからだろ」

「誘ってません!」

「んなこと言って、ほらまた……」

ぐい、と顎を掴まれた。

「その目」

クスッと笑う焔椎真と至近距離で目が合う。
心臓がドクンと脈打つ。
無意識にそういう目付きになっていたのかもしれない。
本当は触って欲しくて仕方なかった。
今朝から焔椎真のことで頭がいっぱいだった。

「焔椎真くん……」

「ん?」

唇が触れるか触れないかの位置で焔椎真が微笑む。

「意地悪しないで下さい……」

「え?」

(って何言ってんだろう……僕)

こんなのキスして欲しいと言っているようなものだ。
一気に顔が熱くなる。

「いえ、あの……」

慌てて訂正しようとしたらくしゃくしゃ頭を撫でられた。

「やっぱそうなんじゃん」

「今のは、その、何ていうか……」

「いいよ、隠さなくて」

そっと唇が重なった。

「愛してる、夕月」

「焔椎真くん……」

焔椎真の首に夕月が腕を回す。
何かに取りつかれたようにキスに夢中になった。
狭い空間に二人の口づけの音だけが響いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ