main
□ルカの隣
2ページ/2ページ
(ダメだ。ルカに好きな人ができたなら、ちゃんとお祝いしないと……)
夕月は首を振った。
「大切な人ができたら教えてね。僕はルカに幸せになって欲しい」
声が震えていたかもしれない。
遠回しに応援していると伝えたつもりだった。
勇気を出して言ったのに、ルカにフッと笑われてしまった。
「また不安になったのか?」
「そうじゃなくて……」
「大丈夫だ。俺はおまえが一番大切だから」
優しく髪を撫でてくれる。
どうしてだろう。
ルカはいつも欲しい言葉をくれる。
「僕も……ルカが大切だよ」
本当は嬉しくて仕方ないけれど。
胸がいっぱいで。
夕月はそう答えるだけで精一杯だった。
「ありがとう」
お礼を言いたいのはこっちの方だと思う。
何も持たない自分にいつも献身的に尽くしてくれて。
(もう少しだけ隣にいてもいいのかな……)
ルカの肩に軽くもたれながら、夕月はそっと瞼を閉じた。