小説

□言葉なんて期待しない
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「…? 帝人君? 顔色悪いけど大丈夫かい?」「大丈夫です…。 それより、臨也さん。」「んー?」
「貴方は僕を愛していますか?」
「…は?」
ずっと聞きたくて、聞きたくなかった質問。答えなんて解っているのに聞く僕は馬鹿だと思う。だけど聞きたい。貴方の口から。答えが欲しい。
「…愛しているよ」
ニンマリと口に弧を描き笑っていた。今すぐにでもその唇を塞いでやりたい。口腔を蹂躙させて呼吸まで支配させてやりたい。
「…そう、 …ですか」
貴方が僕を愛している、というのは人間という囲いの中での“愛している”だと思う。そんな言葉聞きたくないんですよ。反吐がでる。だから貴方の言葉に期待なんてしない。できやしないんだ。
「君は?」
「え…?」
「君は俺の事を愛してる?」
愛していますよ。他の誰よりも、何よりも。自分よりも。貴方しか見ていません。貴方だけを愛しています。
「僕は…」

だけど、臨也さん。僕だってそこまで甘くないんですよ。


「大嫌いです」


愛情は憎悪と紙一重とでも言いましょうか。確かに僕は貴方を愛していますが貴方に愛される謂われは有りません。
貴方はただ僕に愛されていればいいんです。心も体もグチャグチャにされて
僕だけを見ていればいいんです。縋っていればいいんです。
「ふふ、 それはどうも」
別に何も感じていないようにクスクスと笑う。愛しているなら何故そんなに平然といられるのか。僕には理解できない。
僕の心の中で疑念が蠢く。

貴方の愛しているという言葉が虚偽

でしかないなら、

僕のこの感情は一体何なんだ

だから、 僕は…。





















言葉なんて期待しない

















主催企画No body knowsit様に捧げます
参加させていただき有難う御座いました
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