きみとぼくが狂わせた世界
□悲鳴5
1ページ/3ページ
道路を駆け抜ける白のポルシェ。
僕はその後部座席に座って本を読んでいた。
運転席には白い着物に狐面の男…狐さんが座っている。
「ところで俺の最愛。あれを実行に移すのはいつだ」
「そうだね、1週間後くらいかな。その間に真実を見抜けなかったら本当に見込みがない。それだけあればみんなも集められるだろ?」
「ふん。その通りだな」
ポルシェは並高の校門前に停まる。
「着いたぞ。それと帰りは園樹が迎えに来るそうだ」
「心配性だね園樹ちゃんは。僕が怪我しないか心配なんだろうけど」
「『僕が怪我しないか心配なんだろうけど』ふん。当たり前だ。お前が傷つけられて平気でいられる奴は裏世界にはいない。不要な怪我をするな」
「大丈夫だよ、狐さん。できるだけ怪我しないようにするから。じゃ、行ってきまーす」
車を降りて校門をくぐろうとしたその時。
ヒュッ
ドガッ!!
僕のすぐ脇をトンファーが通り過ぎた。
否、
僕に向けて振り下ろされたトンファーを、すんでのところでかわした。
「病院坂灰猫。姫を傷つけたそうだね。咬み殺す」
体勢を立て直してトンファーを構えたのは、雲の守護者、雲雀恭弥。
「早く行かないとHRに遅れちゃうんだけどなあ。委員長自ら風紀を乱すのはよくないよ。という訳で行かせてくれないかな」
「却下だ」
「言って駄目なら、無視するしかないね」
トンファーを避け、僕はさっさと昇降口に向かった。