きみとぼくが狂わせた世界

□悲鳴5
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道路を駆け抜ける白のポルシェ。
僕はその後部座席に座って本を読んでいた。
運転席には白い着物に狐面の男…狐さんが座っている。


「ところで俺の最愛。あれを実行に移すのはいつだ」

「そうだね、1週間後くらいかな。その間に真実を見抜けなかったら本当に見込みがない。それだけあればみんなも集められるだろ?」

「ふん。その通りだな」


ポルシェは並高の校門前に停まる。


「着いたぞ。それと帰りは園樹が迎えに来るそうだ」

「心配性だね園樹ちゃんは。僕が怪我しないか心配なんだろうけど」

「『僕が怪我しないか心配なんだろうけど』ふん。当たり前だ。お前が傷つけられて平気でいられる奴は裏世界にはいない。不要な怪我をするな」

「大丈夫だよ、狐さん。できるだけ怪我しないようにするから。じゃ、行ってきまーす」


車を降りて校門をくぐろうとしたその時。



ヒュッ

ドガッ!!


僕のすぐ脇をトンファーが通り過ぎた。
否、

僕に向けて振り下ろされたトンファーを、すんでのところでかわした。


「病院坂灰猫。姫を傷つけたそうだね。咬み殺す」


体勢を立て直してトンファーを構えたのは、雲の守護者、雲雀恭弥。


「早く行かないとHRに遅れちゃうんだけどなあ。委員長自ら風紀を乱すのはよくないよ。という訳で行かせてくれないかな」

「却下だ」

「言って駄目なら、無視するしかないね」


トンファーを避け、僕はさっさと昇降口に向かった。
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