〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)
□うさぎの親心?カレーな三角関係
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『Dear Mom.
この前も大変なことがあって辛かったよ
まことちゃんと美奈子ちゃんがちょっとしたことで大喧嘩を始めて、ミカと一緒に仲直りさせたの
原因はちょっとした価値観の違いだったんだけど私の性格では仲直りの才能が無いことが分かってちょっと自己嫌悪
言うべきことが言える人になれればいいんだけどな〜
From 紗織』
「これでよし」紗織はママへの定期メールを送信し終えると一息ついてソファーに腰掛ける。
「人の恋愛観は猫の私には分からないけど、何とか仲直りが出来てよかったね」
「うん・・・でも、結局私はほとんど何も出来なかった。ミカが手を回してくれなかったらもっとひどいことになっていたと思う」
紗織はまことと美奈子の騒動を振り返りながらほとんど何もできていなかったことを反省してばかりいる。半分はミカの尽力、もう半分は自己解決に近い形で終息出来たものの、果たして紗織には何が出来たのか思い悩む。
「でも、紗織もちゃんと仲直りの手伝いが出来たからいいんじゃない?最後に見せた行動だって」
「あ、あれは・・・私なりの愛情表現で・・・昔から良くやってることなの」
紗織はシルフィから指摘された行動、他人の頬にキスをしてみせることについて説明する。曰く、昔からやってきたことということを聞いたシルフィはくすくす笑い出す。紗織は頬を赤らめながらこれ以上シルフィに反論はしなかった。
紗織は少し黙り込んで何事か考えていたようだった。何かを話し始めようとしたところで紗織の携帯電話からメールが着信した音が鳴る。すぐに携帯電話を手にするとメールを確認する。送信したのはミカだった。
『紗織へ
久しぶりにお母さんがカレーを作ったから今夜うちに食べにおいで
お母さんも紗織に会えるのを楽しみにしているよ』
「ミカちゃんからのお呼ばれ?いいな〜」
「心配しないでシルフィ、今夜はミカの家でお食事だけど君にもちゃんとご馳走は用意しておくから」
「ありがとう、紗織」
その日の夜、紗織はミカにお呼ばれされて久しぶりにミカの家族と一緒に食事を取ることになった。
「それでさ、この前久しぶりに担任の先生、カンカンだったんだよ。元はと言えば先生の勘違いが原因だったんだけどさ」
「そうか・・・でも、今でも変わっていなかったようで安心したわ」
「そうかしら?先生と来たら紗織がいなくなって寂しい、って春からずっと口に出して言いっぱなしなんだけどね」
紗織とミカはミカの学校での話題を中心に会食を楽しんでいた。ミカのお母さんはマイペースで自分だけ先に食事を終えると居間にあるソファーに腰掛けてTVを見ている。
ふと、TVに映ったセーラー戦士の話題を見ながらミカは前回のまことと美奈子の喧嘩のことに話題を切り替える。
「あれからまことと美奈子はどう?」
「私が見る限り、特に喧嘩の火種になるようなことはなさそうね。貴女のおかげで色々と助かったわ」
「どういたしまして、こういう人生経験はあたしの方が上ね、紗織」
事後報告と言う形ではあるがその後の顛末を紗織から聞いて改めて安心するミカ。そんな2人を横目にミカのお母さんがふと思ったことを口にする。
「ミカ、食事を済ませたら紗織ちゃんに宿題を見てもらいなさいよ。せっかく呼んだのだからそれ位してもらっても罰は当たらないでしょ?」
「お母さん、そりゃないよ。一緒に食事してもらうだけで十分なのに」
「分かりました、私でよければお手伝いします」
「ちょっと紗織、そりゃ無いよー」
ミカは大きく肩を落としてお母さんと紗織に視線を移しながら残った食事を取り終える。最後の方は一気に味気がなくなってしまった感じがしたが誘ったのは自分の方なので弁解の余地は無かった。
こうして紗織とミカのカレーな1日は過ぎていった。その一方でカレーな騒動が起こるとはこの時誰も知らなかった・・・
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