〜Another Moon,Other Stars〜 無印編

□真の強さを求めて!セレネスの猛特訓
3ページ/8ページ

 その日の午後、体育の授業を終えた紗織は先生の元へ出向き、こう切り出した。

「すいません先生、折り入ってお願いがあります。私に、護身術を教えてはいただけないでしょうか?」

「それはいいけど久保さん、急にどうしたの?理由を聞かせてくれる?」

「あのですね・・・最近、物騒ですよね?それで、いつ何時友達に危害が及ぶか分からないので、せめて私が友達を守れるくらいには
しておきたい、と思いまして・・・」

先生から尋ねられて素直に理由を答える紗織、先生は分かったと一言言うと放課後に体育館の一角を借りるから来てくれと告げられた。

<放課後>
紗織とついていくと言い出したミカは言われた通りにジャージ姿に着替えて体育館まで出向く。

「久保さん、まずは基礎の動きから一通り教えるからその通りにやってみて」

「よろしくお願いします、先生!」

一礼して基礎の動きを身体を動かして教える先生、紗織もしっかりと基礎の動きを身体を動かして真剣に覚えていく。

「OK、久保さん。とりあえず基礎の部分は合格。やっぱり貴女は飲み込みが早くてありがたいわ」

運動神経抜群の紗織だから、基礎の部分は問題なく合格をもらえた。

「ありがとうございます、次、お願いできますか?」

「いいわよ、次からかなり難しくなるから、ちゃんとついて来てね!」

「お願いします!」

一段と特訓に気合が入る紗織、だが思うように身体が動かない。

「う〜ん、これじゃダメね。もう1度、やってみて!」

「は、はい・・・!」

もう1度、手本を見せてもらったとおりに動こうとするもののやはり身体が動かず失敗ばかりが続く。

「やっぱりダメか、久保さんは他人に対して気を遣いすぎるから無意識のうちに傷つけまいとするのよね。仕方ない、今日は時間も遅いからここまでにしましょう」

「すいません・・・一生懸命やったつもりなのですが・・・」

紗織は力なくうつむく。紗織の優しすぎる性格ゆえに格闘技の類をやるとどうしても力が発揮できない欠点をどうしても克服することが出来なかった。

「紗織、また明日頑張りましょう」

「うん、ミカ、遅くまでつき合わせてゴメン。帰ろうか・・・」

<帰宅後>
「あ、お帰り紗織。特訓、どうだった?」

「・・・ダメだった。やっぱり私には向いてないのかも」

ベッドに寝転がって再び落ち込む紗織。特訓したいと言い出したのは自分の方なのに苦手意識を克服出来ずに終わってしまった自分のふがいなさに胸が詰まる想いがした。

「紗織、落ち込まないで。今日がダメでも明日頑張ればいい、ママさんだってそう言ってたでしょ!?」

「今日がダメでも明日頑張ればいい・・・か。そうね、今日がダメでも明日、頑張る!分かったわシルフィ!それから、ちょっと思いついたことがあるんだけど、いいかな?」

紗織が何かを思いついたことが気にかかるシルフィ。

紗織は机に向かい、左手にペンを持って何かを便箋に書き始める。

出来た、と一言言うとちょっと行ってくるとだけ告げて家を出て行った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ