〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)

□うさぎの危機!ティアラ作動せず
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 「へ〜、ここが新しく出来た3LDKシアターか〜」うさぎが変な読み間違いをすると

「それを言うなら3Dシアター」とルナが茶々を入れる。

「要するにでっかいゲーセンしょうが、ゲーセンの鬼といわれたうさぎちゃんのパワー、いっちょ見せたろうか〜!」

3Dシアターの建物の前に立ったうさぎは意欲を燃やして建物へと入っていく。

「レイちゃん達も呼んだんだけどまだみたいね〜」とルナが後ろを向きながらつぶやく。

新しく出来たということもあってか黒山の人だかりが出来ていた。

「やっぱり止めよう、こんな戦争ごっこ」

「だから面白いのよ、うさぎちゃんはちっとも戦士の自覚が蘇らないんだもん」

戦士の自覚を取り戻すためのトレーニング、と位置づけたルナにうさぎは反発する。

勢いのままにルナをいじり倒しているとうさぎを呼ぶ声が遠くの方からした。

どこからかと探すと行列の中に紗織とミカを見つけて行列を横切りながら駆けつける。

「あれ〜、紗織ちゃんとミカちゃんも来てたの?」

「もちろん、紗織ってこう見えて結構ゲームが上手いのよ?」

「ちょっとミカ、勝手に話を盛らないで」紗織が赤面しながらミカを制止する。

紗織のゲームの腕を見たくなったうさぎはミカの話にすぐ乗り、一緒に並ぶことになった。

「戦士の時には何故あの積極性が出ないんだろうかな〜?」

その様子を見たルナはため息をついてあきれるばかりであった。

その隣でまあまあ、と献身的に慰めるシルフィの姿もあった。

行列の一角で割り込もうとして係員に注意される人の姿があった。

星華が少しでも早く中へ入ろうとして割り込もうとしたがそれを見つかり注意されていた。

星華は眼から怪しい光を発すると店員は正気を失い、その後ろでは夏美が割り込んだ女性に平手打ちを決め、少し周りが騒々しくなった。

その様子を見ていた紗織は黙っていられず割り込もうとした人に対してやめるよう注意を促す。

紗織の態度が気に入らなかった女性は紗織の方へ近寄るが固い意志を示した紗織のまっすぐな眼に心を奪われ、諦めて帰って行った。

ふう、と一息ため息をつく紗織に対して夏美は嬉しさのあまり抱きつく。

「久保さん、私を助けてくれたご恩は忘れませんわ。よろしければ私とお付き合いしませんか?」

「あ、ちょっと夏美ちゃん?私は今日、この3Dシアターに来たのよ?それに周りの人が見てるわよ?私の友達だっているし・・・」

「へ?久保さんのお友達はどちらに?」

といった横でミカが頬を膨らませて夏美を睨みつける。

「夏美、貴女何をしているの!?」星華も紗織達に気付き、夏美を慌てて制止する。

「オホホホホ、星華お姉様」とわざとらしい高笑いをしてごまかそうとする。

「あら?うさぎさんまで?貴女もこの3Dシアターに?」

「そうですわ。星華お姉様、この方が久保 紗織さん。私と同じクラスの方ですわ。それからこちらの方が・・・久保さんのお友達の・・・」

「速水ミカです!」明らかに怒った口調でミカは自分の方から自己紹介をする。

その場を何とか取り繕おうと紗織は必死になるが夏美が紗織と一緒に行く、と言い出したら今度はうさぎが黙っていなかった。夏美に対する敵対心を剥き出しにする。

紗織はうさぎを、星華は夏美を説得して仲を取り持つ。

(夏美、これは遊びじゃないのよ?分かっているの?)

(大丈夫ですわお姉様、この方が帰って目立たないですわ)

というと紗織とうさぎを連れて先へと進んでいく。少し遅れてミカと星華もついていく。

「まあ・・・こういう展開も悪くないものね」

「同感・・・」

落ち着き払ってつぶやく星華とむくれたままのミカ、好対照な2人であった。
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