〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)
□新しき変身!うさぎパワーアップ
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“・・・ください・・・やめて下さい、その方に手出しはしないで下さい・・・”
“すまないセーラーセレネス、それは聞けない話なのよ・・・”
どことも分からない異空間の中で、何故かセーラーセレネスと月影の騎士が対峙していた。
“・・・ならば私1人で済む話でしょう?どうしてそのようなひどいことを・・・?”
“セーラーセレネス、貴女は間違っていたのよ・・・過ちを正すことの出来ない貴女のために、私が過ちを正す・・・”
月影の騎士の傍らには力尽きて倒れているマーキュリー、マーズ、ジュピター、ヴィーナスがいて、月影の騎士は今セーラームーンを抱きかかえている。
何が起こっているのか分からないセレネスは月影の騎士に事のいきさつを問いただしたが月影の騎士はただ過ちを正す、としか答えない。
“セーラーセレネス、これも貴女のため・・・御免!”
“月影の騎士様、それは・・・・ダメ・・・止めて下さい・・・!”
月影の騎士が左手に突如曲刀を持ち出すとセーラームーンの胸元に突きつける。
必死の思いで止めるよう懇願するセレネスを尻目に月影の騎士は力を込めて曲刀をムーンの胸元に突き刺す。ムーンは悲鳴を上げて絶命する。
ブローチは真っ二つになり、変身が解けてうさぎの姿に戻る。うさぎの胸元からは銀水晶が現れ、月影の騎士は銀水晶を右手に納めるとセレネスに背を向ける。
“ムーン・・・セーラー・・・ムーン・・・うさぎ・・・ちゃん・・・”
目の前で起きたことが信じられず悲鳴を上げて、悲しむセレネス。
月影の騎士は何も言わずに銀水晶を持ったままどこかへと歩き始めた・・・すると、何故か月影の騎士の頭に巻かれたターバンが解けて素顔を晒す。
素顔を見ようとするものの暗闇に阻まれて見ることができない。
どんどん遠くなる距離、セレネスは目の前で起きたことが信じられず身動きが取れない。
“いや・・・嫌・・・嫌ーーーー!”
「嫌ーーーーーー!」
紗織は自分の悲鳴で目を覚ました。目を覚ましたところで今起きた出来事が夢の中だと気付いたのだった。
「紗織・・・何があったの?ひどい汗だけど?」
「あ、ああ・・・シルフィ?今、変な夢を、いえ、悪夢を見ちゃって・・・」
紗織は傍で心配するシルフィに気付くと少し間を置いてシルフィに答える。
ここ最近、夢を見ていなかった紗織にとって今日見た夢が一体何を意味するのか、まだ理解することが出来なかった。
この前起きたムーンの異変と何か関係があるのだろうか、さまざまな可能性を考える。
自分と同じようにムーンも不完全な状態になっていることは間違いなかった。
ムーンの場合はダークキングダムとの戦いの後、戦士をやめていた関係もあるのかもしれない。
しかし、決戦後も戦士を続けていた自分はどうなのか?その線も考えたが思うような結論が出そうになかったので保留にする。
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