〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)
□うさぎのハチャメチャベビーシッター騒動
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『Dear Mom.
この前、美奈子ちゃんが知り合った幼稚園児の子がこんなことを言っていたの
セーラーセレネスはちゃんと存在すると信じている、ってそれでまた悪い奴が現れて私がその子を助けたときの笑顔・・・
子供のときの夢を色々と思い出した気分だったわ
今は私が誰かから憧れられる存在になっているみたいだから子供の夢を壊す人たちとはこれからも戦い続けるつもりだよ
From 紗織』
「これでよし、と」
紗織はママへの定期メールを送信するとコーヒーカップを手にする。
「それにしてもセーラーセレネスに憧れる子供がいたなんて嬉しい話よね」
「そうね、子供達の夢を守るためにも今まで以上に厳しい戦いが待っているでしょうね」
「紗織の力が、セレネスの力が完全に元に戻ればうさぎちゃんにかかる負担を軽くすることが出来るんだけど・・・いつになるのかな?」
「それは分からない。でも、見守ってくれる人達を信じて、自分を信じて戦うだけだわ」
紗織は月影の騎士から諭された一言を心に刻み込む。
誰かを信じ、自分を信じることが力になる・・・美奈子も守るべきもののために新たな力を手に入れたのだから。
「赤ん坊には力強く新鮮なエナジーが満ち溢れているわ」
「今度のターゲットは・・・赤ん坊」
エイルとアンは前回の幼稚園児から更に年齢を下げ、無力でありながらも純粋なエナジーを所有する赤ん坊に照準を定めたようだ。
「アン・・・今回の作戦に相応しいカーディアンを選んでちょうだい」
「はい・・・」
アンがエイルから差し出されたカードの中から1枚を選ぶ。
場所は魔界樹の部屋から十番保育園の屋上に移り、エイルの笛の音と共に新たなカーディアン、アマデウスが誕生する。
アマデウスは早速眼下にある十番保育園の赤ちゃんと保護者に狙いを定めて行動を開始した。
うさぎと亜美、少し遅れて紗織の3人が十番保育園の前を通りかかった。
「まあ、かわいい!」
「お名前は?」
「愛美っていうの?かわいいでしょう?」
入り口のところでちょうど帰ろうとする愛美と母親が話していると上空から怪しい光が見えた。上空には太陽を背にしたアマデウスがいたのだった。
視界を遮られた3人はまともに見ることもできずその隙にアマデウスは手元から放った無数の糸で赤ちゃんと保護者ら、その場に居合わせた人々からエナジーを根こそぎ奪っていく。
泣き叫ぶ時間すら与えられないまま赤ん坊や保護者達はその場で気を失って倒れていく。
愛美と母親もその例外ではなく紗織達の目の前で倒れていく・・・
「ひどい・・・何も抵抗できない赤ちゃんのエナジーまで奪うこと、ないのに・・・」
紗織は目の前で起きた惨劇に身体を震わせて怒りを露にする。
滅多なことでは怒らない紗織が怒る姿を見たうさぎと亜美も同じように卑劣な手段を認めることは出来なかった。
3人の背後で一台の車が止まる、降りてきたのは高木だった。
「ちょっと、何が起きたの!?救急車、救急車!」
高木は保育園内で起きた惨状を見るとただならぬ自体であるとすぐに見抜き、携帯電話を手にすると119番通報で救急車を直ちに呼ぶ。
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