〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)

□めざめる真実の愛!魔界樹の秘密
1ページ/11ページ

 “愛とは・・・儚い物ですか・・・?”



“愛って・・・いつか枯れてしまう物ですか・・・?”



“愛とは・・・死に行く定めの物ですか・・・?”



“乙女の悲しい叫びを・・・貴女は感じますか・・・?”



“どうか私に・・・愛しい人を守る勇気を下さい・・・”



「このまま魔界樹が大きくなり続けると、地球のエナジーが全て搾り取られてしまうわ!」

「次は私に任せて!」

ヴィーナスはジュピターに続いてクレッセント・ビームを放とうとするがマーズが何かを察知してヴィーナスに攻撃を止めるように頼む。ヴィーナスは構えを途中で解くとマーズがおもむろに歩み始める。

霊感の強いマーズが何かを感じ取った、それが一体何を指すのか疑心暗鬼になるジュピターとヴィーナス。仲間が見守る中、マーズは魔界樹の伸びた幹に触れると魔界樹の正体が何なのか感じ取る。

「魔界樹の正体は・・・知性体なのかも・・・」

マーズが見抜いた仮説は全員に少なからず衝撃的な事実だった。だが、それを論じる間もなく魔界樹はまた活動を再開する。その動きに警戒し、戦闘態勢に戻る4人だったが魔界樹は抵抗するどころかまるで4人を案内するかのように幹を退かして廃墟となりかけた十番オデュッセイアへの道を開く。

「どうやら中へ入れてくれるみたいね」

まだ警戒しながらも中へ入って紗織とうさぎ、ミカを助けるまたとないチャンスだと判断した4人は一気に突入することにした。

その様子を車を降りて見つめていた高木は目の前で起きたことに呆然とするしか出来ない。

(あの子達がセーラー戦士ってことはまさか紗織ちゃんも・・・!?だとしたらあの中には・・・!)



十番オデュッセイアの中も既に魔界樹の幹が覆い尽くしてどこがどうなっているのか見当が付かないほど荒れ果てていた。その中を進む4人、途中で溶解液を放つ幹を見つけるや否や進路と退路を同時にふさがれてしまい孤立無援となる。

罠にかかってしまったことを自覚する4人だがここで足を止めるわけにもいかない。マーキュリーのシャボンスプレー・フリージングで溶解液を放つ枝を攻撃して事なきを得る。

しかし、その戦闘の中でルナが負傷してしまいシルフィはすぐにルナを気遣う。

「大丈夫よ、かすっただけ・・・」

「その怪我じゃ・・・これ以上は無理みたいね」

「そんなことより早く魔界樹の中心部へ行きましょう!」

先へ進もうとしたとき、またも魔界樹の抵抗に遭うが今度はマーズが突破口を切り開いて奥へと進む。その間も魔界樹の執拗な追跡に遭ったが何とかエレベーターにたどり着き、上の階へ進もうとするがエレベーターが作動しない。

「どうしたの!?エレベーター、動かないの!?」

「早く上へ進まないと!」

「エレベーターが作動しないの!?」

正面からは魔界樹が襲い掛かる。退路は完全に絶たれた状態、ふとアルテミスが上を見上げると通風孔の存在に気付く。とにかく上へ進むことを最優先させ、ジュピターが通風孔の扉を蹴り上げて進路を確保する。

真っ先にジュピターが上に上がり、マーキュリー、マーズ、ヴィーナスと順番に引っ張りあげたことにより何とか魔界樹の侵攻から逃れることには成功した。



「あああああぁぁぁぁぁぁっ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

最深部にある魔界樹の本体の前では紗織とうさぎがエナジーを奪われ続けている。何とかこの窮地を脱して魔界樹に一糸報いなければ命が危ない。

「うさぎちゃん、大・・・丈夫・・・!?」

「紗織・・・ちゃん・・・」

紗織とうさぎが必死に手を伸ばしてつかまろうとするがそれをあざ笑うかのようにエイルが2人の間に入って妨害する。紗織は身体に力が入らず、ただ見上げることしか出来ない。

「私のうさぎさんに何人たりとも触れることは許さないわ・・・!」

「エイル!私の久保さんに何をなさるの!?」

「アン!貴女、今何と言ったの!?もう1度言ってみなさいよ」

「エイルの方だって!私の月野さん、だ何て不謹慎な事を言いましたわ!やっぱり私よりその女を愛していたのね!」

アンの嫉妬心から破壊的なエナジーが満ち溢れる。エイルは何とか落ち着かせようと説得を試みるがアンは聞く耳を持たず魔界樹にうさぎのエナジーだけを奪いつくすよう命令する。

「魔界樹よ、あのお団子頭の女のエナジーだけを全て奪うのです!」

「違うわ!もう一方のピンクの髪の女の方を!今まで世話した恩を忘れたの!?」

「私の言うことを聞かないと只では済みませんことよ!?」

2人の命令は真っ向から対立したが、魔界樹は紗織とうさぎのエナジーを奪い始めた。それはひいては2人が最も望まない結果でしかなかった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ