〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)

□気高き誓いの下に!女神達の決意
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『Dear Mom.

魔界樹と呼ばれる宇宙から来た異星人との戦いは無事に解決したよ

星華さんと夏美ちゃんがエイルとアンという異星人で争い合っていたんだけど最後はお互いのことを分かり合うことが出来たから本当に良かったわ

エイルとアンは他の惑星に新しい安住の地を求めて旅立ったからひとまずこちらは平和になったけどまだまだ落ち着かない日々が続きそう・・・

いつになったら本当に気が休まる日が来るのかな〜

From 紗織』

「これでよし、と」

紗織はママへの定期メールを送信するとシルフィと向き合い、これまで起きた一連の出来事を振り返る。

「それにしても魔界樹はどれだけの間、独りぼっちだったのかな?紗織達のおかげで孤独から解放されて新しい旅立ちを迎えたんだけど・・・」

「今はどの辺りにいるか、とか想像もつかないような旅を始めたんだよね。でも夏美ちゃんなら、アンなら大丈夫だと思うよ。彼女達の愛と絆が本物だから」

銀河姉妹がセーラー戦士に立ちはだかったエイルとアンであったことに衝撃を受けたが魔界樹の本来の目的と彼女達のあるべき姿を示したことで分かり合うことが出来た。

「それから・・・月影の騎士が貴女の銀水晶の化身で貴女がプリンセス・セレナであることを証明出来たことでうさぎちゃんもの本当の再会を果たせたんだよね」

「そう・・・やっと私の目的が果たせたのは良かった。月影の騎士が私の持っていた銀水晶が生んだ分身だったことは想定外だったけどね」

魔界樹の暴走が起きた最中、月影の騎士が「月の天使事件」で紗織から離れた銀水晶の産み出した分身であることを知り、紗織の下に戻ったことで再びプリンセス・セレナとしての力も蘇ったこと。

そして、紗織の目的であったプリンセス・セレニティ=うさぎとの邂逅は無事に終えることが出来、お互いのことを分かり合うことが出来たのも大きかった。

「でも、ミカちゃんが地球の巫女だったなんて・・・紗織の身近にいたのも前世からの縁だったのかもしれないね」

「あのねシルフィ、前世からの縁とかそういうのは関係なしに私とミカは今までも親友同士だったしこれからもずっとそういう関係で居続けたいって思っているの。ミカがそれに気付いたときにも恐らく私と同じ考えに至ると思うと信じたいし・・・」

その過程で新たな懸案事項も発生した。それはミカが前世においてプリンセス・セレナと契りを交わすはずであった地球の巫女であったという衝撃の事実。

ミカは地球の巫女が発現していたその前後の記憶が全くないことを気に病んでいたが紗織自身も少なからず衝撃を受けていたことは事実だったため今は伏せておくことにしている。

「そういえば、最近帰ってくるのが早いけどバロンドールには行っていないの?」

「う、うん。高木さんもここ最近忙しいらしくて会えてないし、それに今の私には高木さんに合わせる顔がないし・・・」

ミカと一緒に魔界樹の真相を突き止めて全てを白日の下に暴こうとしたもののその過程で魔界樹の暴走を引き起こしてしまいその騒動の中にいた紗織もミカも命の危険に晒されたことは否定できない事実だった。

それに加えて身勝手な行動を高木に見られていたこともあり、一喝受けてしまったことも事実である。最後は高木に対して言いたいことはないか尋ねられたが心の整理が付かないまま全てを話す気にはならず保留のままである。

それが紗織達と高木の間に気まずい状況を引きずっていることを紗織は気に病んでいた。出来る限り早いうちに高木への返事をしなければいけないが上手く切り出せないのはひとえに紗織に迷いがあったからである。

その迷いを吹っ切るためのきっかけがないまま今日まで至っていることを振り返る紗織とシルフィであった。



「はぁ〜あ、なんか暇ね〜、何か楽しいことないかな〜?」

魔界樹との戦いが終わり、一時の平和が戻ったことでひとまず普通の生活を過ごしている中、うさぎが今日も同じようなことを話している。

「う〜ん、私に振られても困るな〜。うさぎちゃんの方がそういうの、詳しいと思うんだけど」

「うさぎと紗織ちゃん、何か最近すごく仲いいよね?何かあったのかな〜?」

「いや〜、話せば長くなるんだけどね〜。いろいろありまして〜」

「そうね・・・色々あってね」

紗織とうさぎはお互いの顔を見合って笑い合う。2人のプリンセスが紆余曲折を経て、現世での再会を果たした。お互いを思う気持ちの強さは並大抵のものではないほど強固な絆で結ばれている。

なるは少し不思議そうな顔をするがすぐにうさぎ達につられて笑顔になる。こうして和やかな時を過ごせるありがたさを肌で感じる紗織であった。
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