〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)

□乙女の憂鬱!?ちびうさの謎を追え
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『Dear Mom.

突然だけどうさぎちゃんに従姉妹がいたらしいの

うさぎちゃんのママの話によると名古屋の親戚のところで居候していたらしいんだけどどういうわけかうさぎちゃんを探して十番街まで来ちゃったらしいの

さらにうさぎちゃんの銀水晶を探しているらしいんだけどどうして私のものを探そうとしないのかちょっと気になるわ

更にはその小さなうさぎちゃん、ちびうさぎちゃんを追って新しい敵まで現れたからもう大変

まだまだ平和な日々とは程遠い生活を送ることになるかも

From 紗織』

「これでよし、と」紗織はママへの定期メールを送り終えるとパソコンから離れて居間へと移動する。

正面にシルフィを見据えて気になったことを尋ねることにする。

「ねえシルフィ、前世においてプリンセス・セレニティに従姉妹なんていたっけ?」

「う〜ん、そういう記憶も伝承もまったく見かけたことはないね。クイーン・セレニティの娘は貴女とプリンセス・セレニティしかいないし・・・」

「そうだよね、私も前世で従姉妹がいたって話も聞いたことないんだよね?」

「その線もありえない、それは前世で貴女と一緒にいたことははっきり覚えているから断言するわ」

シルフィの証言によりちびうさぎはうさぎにも紗織にも血縁関係のない間柄であることははっきり立証された。

そうなると次はそのちびうさぎを追って現れた新しい敵の存在に話の焦点が移る。

「ところでさ、あの新しい敵の存在なんだけど・・・何か心当たりはない?」

「う〜ん、それもはっきり言って心当たりはないわね。あの額のマークがちょっとだけ引っかかるといえば引っかかるんだけど・・・」

「あの額のマーク、月の王国と何か因果関係があるのかしら?ちびうさぎちゃんにも私と同じ月の王国の紋章が現れたのを見てあの子を攻撃対象と認識していたんだけど?」

「すべてを立証するにはまだ証拠が少なすぎるのが不安よね。もう少し調査を進める必要があるわね、ちびうさぎちゃんのことも、敵のことも」

紗織とシルフィは前回起きた出来事を振り返りまだこの事件が始まったばかりであることを改めて認識する。

ちびうさぎのことも敵のこともより正確な調査を進めた上で真相を突き止めるしかない、そのためにも行動することが最善だと判断したのだった。



公園のブランコに座り、下をうつむいたままちびうさは微動だにしない。その胸元には鍵の形をしたペンダントのようなものがぶら下がっている。

(ママ・・・あたしの優しいママ・・・)

うさぎはブランコに座ったままのちびうさぎを遠くで見つめていた。ちびうさは悲しそうな表情で家族のことを考えている様子だった。

ちびうさぎがペンダントを手にしたときうさぎはゆっくり歩いていきちびうさに声をかける。

「どうしたの、ちびうさ?黙って家を飛び出したりしちゃって・・・?みんな心配しているよ」

「うるさいわね、ほっといてよ!」

ちびうさは涙を拭って強がって見せるものの悲しみにくれているのは明らかだった。うさぎは優しいまなざしでちびうさを見つめると家へ帰ろうと持ちかける。

今度は寂しさゆえに断ることはせずに素直にうさぎの手を握り締める。その瞬間、うさぎの脳裏に何かのビジョンが映り込む。
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