〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)

□戦士の友情!さよなら亜美ちゃん
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『Dear Mom

あれから色々とちびうさちゃんのことを調べてはいるんだけど思うように進んでいないの

そうこうしているうちにうさぎちゃんも色々と悩みを抱えているようだし私に何が出来るのか不安になってきたよ

焦るのはよくないとは思うんだけどちびうさちゃんの悲しそうな表情を見るとどうすればいいんだろう

From 紗織』

「これでよし、と」紗織はママへの定期メールを送り終えるといったんパソコンから離れる。

「前回の時点では手がかりなしだったのはもったいなかったよね」

シルフィからそう指摘されると紗織は少し考えてからシルフィに答える。

「手がかりは見つからなかったにせよ敵の動きが妙だったのは気がかりね。ちびうさちゃんの命を狙っているなら何故すぐに手を出さなかったんだろう・・・?」

「そういえば未来がどうとか言っていたんだよね?未来の十番街とちびうさちゃん、それから銀水晶・・・未来で何かあったのかしら?」

「分からない。でも、敵の言っていることが本当だとしたら未来に起こるはずの歴史を自分達の思うように改竄するための行動に移っていることは明らかだわ」

紗織とシルフィが共通して口に出して言ったことは未来、である。いつの時期をさすのかは分からないが敵は未来から来て過去の十番街で何かの目的を達成し、未来を自分達の思うように改竄してしまうこと。

その行動が意味するものが紗織にもシルフィにも分からないままでいた。とにかく、今起きたことを対処するしか方法がないことを紗織は改めて自覚するのだった。



ちびうさが元気に学校から家路に向かう。今日からちびうさも晴れて小学生としての生活を始めることになる。

見るもの聞くもの全てが新鮮に映る年頃ゆえ、好奇心も相応に旺盛になっている。
帰り道で紗織と合流する前に歩道橋の上から階下を眺めてみるとアイスクリームをおいしそうに食べている人々の姿が映る。

思わずちびうさも食べたそうな表情を見せるがすぐにわれに返りとても年相応とは思えない言葉を口にする。

「チョコミント・・・って馬鹿みたい、何考えてんの、あたしったら。アイスクリームより早く銀水晶探さなくっちゃ」

結局、ちびうさはアイスクリームのことは忘れ自分の使命に専念することにした。そこへ自分に声をかけてくる人影が視界に入る。

「ちびうさちゃん、今、帰り?」

「あれ、亜美ちゃん?」

「こんなところで何を見ていたの?」

「別に・・・」

ちびうさがそっけない態度を取るが亜美はすぐに頭を働かせてちびうさが興味を示したものを見抜く。

「もしかして、あの新しいアイス屋さんを見てたのね?」

「あんなもん、興味ないわ!」

「そう?結構おいしいって評判よ。私も食べて見ようかしら?ねえ、ちびうさちゃん、一緒に食べていかない?もちろん、私の奢りで」

「本当!?亜美ちゃんが言うならつきあってあげる!」

亜美が奢ると言い出したのが効いたのか、ちびうさは亜美につられてアイスを食べていくことになる。

「ちびうさちゃん、遅くなってごめん・・・あれ、亜美ちゃんも一緒?」

「あ、紗織ちゃん。ちょうどいいところに、貴女もアイス食べていく?」

「いいよ、でも自分の分は自分で出すから心配しないでね」

「紗織・・・貴女って・・・」

「ちびうさちゃん?私がどうかした?」

「何でもない」

(だめだ・・・うさぎなら余裕を持って狙えそうだけど紗織はかなり警戒している。もう1つの銀水晶、2つある銀水晶のうち、どちらかさえ手に入れば・・・)

紗織も一緒になってアイスを食べることになったもののちびうさはどこか落ち着かない様子だった。隙あらば紗織のもつもう1つの銀水晶を狙いたかったのだが周囲に人がいるうえに紗織自身の警戒も固いことから手を出すのは容易ではなかった。
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