〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)

□女は強く美しく!レイの新必殺技
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 『Dear Mom.

亜美ちゃんにドイツ留学の話があったんだけど色々あった末に延期になっちゃった

私たちと一緒にいる時間を大切にしたいって言ってくれたのはすごく嬉しかった

私としては亜美ちゃんの夢を叶えられなかった事が心残りだけど亜美ちゃんの思いを無駄にしてはいけないと思って決心を受け入れたわ

From 紗織』

「これでよし、と」紗織はママへの定期メールを送信し終えるとコーヒーカップを手にしてシルフィに話しかける。

「亜美ちゃん・・・ドイツでも日本でも同じように勉強は出来るって言ってたけど・・・今になってその意味が良く分かるわ」

「紗織ってさ、ドイツに行ったことがあるの?」

「うん、ほんの2,3ヶ月だけ。でも物心が付く前のことだったからあまり覚えてないの」

「そうなんだ・・・でも海外に留学するのって並大抵のことじゃないんだよね?」

「そうよ、シルフィ。でも、亜美ちゃんはそれを断ってまで私たちと一緒にいることを選んだ、その想いは決して無駄にしてはいけないと思うの」

紗織は亜美の海外留学が破談になったことに触れて亜美のことを気遣いながらこれからのことを考える。

また近い将来に亜美が海外で活躍する機会が訪れるだろう、それがいつになるかは分からないが今度は亜美を精一杯送り出したい、そう思っていたところだった。



「おはよう、紗織」

「おはよう、ミカ。この前はちょっと大変だったわね」

「まあね、でもあたしが残しておいた写真のおかげであのアイス屋、営業再会したんでしょ?今度一緒に食べに行こうよ」

「OK、休みの日に必ずね。貴女のお手柄だってことは私以外に誰も知らないけどね」

先日のBOB-FLOYでの事件を解決するための手助けをしたことで店側から謝礼をもらって大満足のミカはそれを紗織に見せびらかしながら駅へと向かう。

紗織としてはWhite Swearとしての活動を始めて初めて人に喜ばれる嬉しさを身をもって実感し始めた頃である。まだまだやるべきことは多いがこれからも自分達の出来ることで誰かのために貢献したいと願わずにはいられなかった。



「おはようございます、高木さん・・・あれ?車は・・・?」

「ああ・・・紗織ちゃん?ちょっと、訳があってね・・・」

高木が車を運転せず、自転車で来ていたことで様子がおかしいと思った紗織は高木に尋ねようとしたもののそういう雰囲気ではないと思い聞くのをやめる。

すると紗織に気付いたスタッフが紗織にこっそり耳打ちする。

(実はね、オーナーこの前の暴走運転が警察に見つかったらしくて免停食らっちゃったのよ)

(この前・・・ちびうさちゃんを乗せたときの・・・そういえば、あの後のちびうさちゃん、ひどくおびえていた気が・・・)

「そこ、サボってないで掃除しなさい。紗織ちゃんも遅刻するわよ!」

「あ、いけない。時間忘れたた〜」

高木から厳しく指摘されると紗織は大急ぎで学校へと向かう。こうしていつもと変わらない1日は幕を開けた。
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