〜Another Moon,Other Stars〜 無印編

□目覚めた運命!セーラー・セレネス誕生の日
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 『・・・セレネス、目覚めるのです。セレネス、貴女はセーラー戦士。

私の愛すべき子供。そして、本当の貴女は・・・』


「私が、セーラー戦士?え、セーラー戦士って一体・・・?」

もう一言言おうとしたところで紗織は目を覚ました。

生まれたときからずっと見続けている夢。誰かが紗織に対して何かを告げようとする夢。

幼い時は覚えていることはなかったもののここ最近は鮮明に見えるようになり、それが脳裏に焼きついて離れない。

声の主が誰かは分からない。ただ、はっきりしているのは母親以外の誰かであるということ、そして、とても懐かしい感じがするということ。

「考えたって仕方ない、分かる日はいずれ来る」

そうつぶやいて紗織は学校へ行く支度をする。

久保 紗織はまだ中学生。やっとセーラー服が様になってきたばかりのほんの極普通の中学生、だった。

『運命の日』を迎えるまでは。



「おはよう、紗織!」

「あ、おはよう。ミカ・・・」

駅のホームで紗織はクラスメートの速水 ミカと合流した。

紗織とミカは住んでいる家が近いのでいつも駅で合流することが多い。

今日もいつもと変わらない登校風景だった。

唯一、夢のことが気がかりで紗織の気が晴れない点を除いては。

「どうしたの、紗織?元気ないけど?」

「うん、変な夢、見ちゃってね・・・」

「夢?また名無しの権兵衛さんに起こされる夢?」

「ちょっと、違うけど・・・まあ、そんな感じ」

「紗織ったら、何か困ったことがあったら考えすぎよ。そんなんじゃいいお嫁さんになれないぞ!?」

「あはは、ミカったら・・・」

ミカに励まされて紗織はいつもの元気を取り戻すことが出来た。

紗織にとってミカは小学校時代からの大親友だから1を話せば10を理解してもらえるほど仲がいい。

しかし、夢のことはいつもはぐらかしているだけ、親友のミカの前ですら嘘をつかなきゃいけないほど、紗織の見ている夢は
インパクトが強いものなのだ。

電車を降りて学校に行き、勉強に明け暮れる。

学校が終われば、家に帰る。

いつもと変わらない1日を終えようとした帰り道・・・だが、たった一つだけ、いつもと違う出来事が紗織を待っていたのだ。
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