〜Another Moon,Other Stars〜 無印編

□銀水晶はどこに!?瞳はダイヤモンドの輝き?
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 『Dear Mom.

この前言っていた化け物の仲間が今度は学校に現れちゃった

今度は私独りだけじゃなく先生や友達と力を合わせて追い払うことに成功したよ

それはそうと、今日はミカと博物館に宝石展を観に行くの

いつか紗織が大人になったら宝石が似合う大人になれるかな〜

ママはどう思う?

From 紗織』

「これでよし、と」

「お疲れ様紗織、今日の報告、終わったね」

「うん、ところでさ・・・シルフィ?」

「何?紗織?」

「私、かねてから疑問に思っていたんだけど幻の銀水晶って一体どんなものなの?いきなり探せ、だなんて言われてあれこれ検索はしてみたけどそれらしいヒントはゼロ。

普通の宝石とは明らかに違うことは推理できるんだけど・・・」

「ごめん、大事なことを話してなかったね。いい、紗織?幻の銀水晶って言うのはね、月の王国に代々伝わる秘宝でね、無限の再生力とあらゆる物を浄化するとてつもないパワーを秘めた聖石なの」

「それは前にも聞いたことがあるような・・・でも、月のプリンセスが幻の銀水晶を持っているってのは大体察しがついたんだけど月のプリンセスについてはまだ何も聞かされてないんだけど?」

「それについてなんだけど・・・ゴメン、私にも分からなくて・・・」

「そうなんだ、さすがのシルフィでもそこまでは分からないか」

「うん、私の記憶にあるのは銀水晶のことだけ、プリンセスについては聞かされてなくて・・・これもとても大切なことなんだけど」

「分かったわ。さてと、待ち合わせの時間に遅れるから出かけようか、シルフィ」

「OK、今日は大きい鞄だからゆっくり身体を伸ばせそうだよ。学校の鞄は小さくて窮屈だよ」

「アハハ、わがままを言わないの。あ、そうそう。ミカに連絡入れなきゃ」

母への定期メールを終えた後、宝石展のスケジュールを確認し、シルフィを同伴して会場である博物館へ出向く紗織。

彼女自身の使命となった幻の銀水晶探しの手がかりになれば、と思い数日前から予定に決めていたことである。

偶然、ミカも博物館の方に用事があるらしく同行することになったがミカ自身は博物館と言った類が苦手であるらしく途中まで一緒に行って博物館で別行動を取る予定となっていた。

「はぁ〜、紗織。この前の化け物、今度は学校に現れたんだよね」

「先生から話は聞いたよ、ミカの探し物に夢中で気付かなかった。ゴメン」

「でもね・・・とても素敵な方が私と先生を助けてくれたのよね」

「その話・・・これで何度目?もう聞き飽きたよ〜」

「でもでも、とっても強くて、美しくて、素敵な方だったわ。何かこう、理想の女性像を地で行くような」

電車の中でミカが話すのは学校であった出来事だった。

厳密に言うと紗織自身がセーラーセレネスに変身して妖魔を撃退したわけだがミカの目にはセレネスがよほど印象に残ったのか、この一件があって以来、暇さえあればこの話を持ち出すほどであった。

「お名前も美しいお方だったわ、確か、え〜と」

「さてと、そろそろ降りる駅よミカ」

何度となく聞いた話を遮る様に電車が目的地への駅に着く。

電車を降りて紗織とミカは一路博物館の方へ向かう。

「それじゃ、2時になったら約束の場所でね。遅れちゃダメよ、ミカ?」

「分かったよ、紗織。紗織の方こそ遅れないでよ」

『至高の宝石展』

そう書かれた看板が掲げられた博物館の前で紗織とミカは一旦別れた。

「さて、行くか・・・手がかり、見つかるかな〜?」

「分からないけど、何か見つかればいいね」

出かける前にシルフィと話し合ったことを整理すると幻の銀水晶は月のプリンセスの所有物であり、幻の銀水晶の在り処を突き止めれば月のプリンセスの居場所も分かるだろう、ということ。

だが肝心要のプリンセスについてはシルフィですらも分からないと言い切った。

何かを隠している素振りがあるわけでもなかったことを考えると無闇にシルフィを責め立てるわけにもいかない。

とにかく紗織に出来ることを今やる、それが最善の方法だと紗織は思った。
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